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実はIIJmioの真似ではなかった、日本通信(b-mobile)「月額定額プランI」とIIJmio徹底比較

b-mobile「月額定額プランI」「月額定額プランN」

昨年末、意味深なプレスリリースとともに発表された日本通信(b-mobile)の「月額定額プランI(アイ)」「月額定額プランN(エヌ)」普通の人には何のことかわからないプラン名ですが、MVNO関係に興味がある人ならすぐに「やりおった」と感づきます。「I」と「N」はそれぞれ、IIJmioNTTコミュニケーションズ(OCN)ののことでしょう。サービスで先行する2社にぶち当てようという意欲的なプラン名ですが、露骨すぎて少々引きます(汗)。

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「プランI」では高速通信が600MBに設定されており、IIJmio(ミニマムスタートプラン)のバンドルクーポン500MBに比べてちょっと増量されています。この「競合他社よりほんのちょっと良い」というのはいい線ついているのは確かで、IIJmio利用者の私も正直乗り換えを検討してしまいました。

ところが、改めてb-mobileの「月額定額プランI」とIIJmioの「ミニマムスタートプラン」について比較してみると、両者はかなり性格の違うプランだと言うことがわかりました。今回はその違いについて詳しくまとめてみたいと思います。

スペック比較 

まずはカタログスペック比較です。両社のWebサイトを参照した上で、不明な点は直接Twitterで問い合わせて確認しました。(後述)

日本通信はWebサイトが「税別表記」に変更なっていました。今回は消費税5%として税込み表記にそろえて表記します。

  IIJmio
ミニマムスタートプラン
b-mobile
月額定額プランI
初期費用 3150円 ※1
月額費用 945円 945円
SMS対応 対応可能(+147円) 対応不可
バンドルクーポン(高速通信) 500MB 600MB
通信速度の制御 クーポンON/OFF可能 切り替え不可能
クーポンOFF(低速時)速度 200Kbps 200Kbps
余ったクーポンの翌月繰り越し 可能 繰り越し不可能
クーポン追加購入 可能 追加購入不可能
画質劣化プロキシ なし 強制適用
通信規制 366MB/3日 360MB/3日
プラン変更 可能 不可能(準備中)※2
SIMカードサイズ変更 可能 不可能(準備中)
  • ※1:新規申し込みは不可能。既存利用者のプラン変更のみ。
  • ※2:将来的にプランI・プランNの間でのみ変更可能になる予定。(その他のプランへの変更は対応しない)

高速通信容量と、通信速度のON/OFF

最初にも書いたとおり、b-mobileは高速通信可能な容量が600MBと、IIJmioの500MBより多く設定されているのがポイントです。Twitterや他のblogを見ていても、この点を評価している人が多く見られました。

ですが、b-bmoileにおける「高速通信」はIIJmioの「クーポン」とは意味が異なります。

IIJmioのクーポンは、利用者が自分でON/OFFをコントロールすることができます。このため、同じIIJmioの上位プラン(クーポン2GB)より少ないクーポン量であっても、利用者がうまく工夫することでこの500MBを最大限使い倒すことができます。(IIJmioはクーポンOFFでも通信速度が速く、Twitter程度であれば十分快適使えるので、普段はクーポンOFFにしているケースが多い)また、上手にやりくりしてクーポンを余らせることができれば、残量を翌月に持ち越すことができるので、使い方により柔軟性が持てます。

一方、b-mobileの高速通信は、自分でON/OFFをコントロールすることができません。月初に600MB分が割り当てられると、600MB使い切るまでOFFにすることはできません。自分でうまく調節して月末まで高速通信を残すような使い方はできないのです。このような仕組みなので、高速通信容量が月末に余ると言うことは少ないと思いますが、仮に残量があったとしても翌月には持ち越せないという点も異なります。

IIJmioのミニマムスタートプランは、一ヶ月に500MB以上の通信を使う人でも工夫次第で快適に利用できますが、b-mobileのプランIは、一ヶ月の通信量が600MB以下に収まる人に最適化されていると言えるでしょう。

 

画質劣化プロキシ(Webアクセラレータ)強制

b-mobileのサービスには「Webアクセラレータ」という、通信時に画像の画質を劣化させることでデータ量を削減し、体感通信速度を向上させるという仕組みが備わっています。プランIではこの機能が強制的にONになっているということです。

どのぐらい画質が劣化するのかは実際に検証している人がいるので、参考にしてください。

高速通信の容量が決まっているプランなので、Webアクセラレータを使うことでデータ量の削減が図られているのは、良い組み合わせだと思われます。しかし、一方で、Webアクセラレータは通信の反応速度(ping値)に悪影響を与えると言われています。ping値が悪くなると、LINEやSkypeの音声通話、Radikoのようなサービスの品質が悪くなってしまいます

IIJmioはWebアクセラレータのような仕組みがありませんが、代わりにping値が良いと言うことで知られています。実際LINEやRadikoを使っていても音質が気になったことはありません。

b-mobileのプランIは、LINEやSkypeをあまり使わず、画像をたくさん含んだホームページを頻繁に閲覧する人に向いていると言うことができそうです。たとえば、Twitterは投稿者のプロフィール画像がたくさん使われていますが、ああいった画像であれば画質が劣化していてもあまり気にならないので、Webアクセラレータの効果があるのではないでしょうか。(訂正:Twitterプロフィール画像httpsで暗号化されているため、Webアクセラレータの効果はありません)

 

契約方法・プランの切り替え・SMS対応

b-mobile プランIの困った点がこのあたりです。現在b-mobileのサービスを利用していない人は、いきなりプランIを契約することはできません。最初にb-mobileの他のプランを契約して、翌月改めてプランIに変更する必要があります

折角b-mobileのトップページにでかでかと掲載されているのに、申し込みできないなんて…。なので、いまIIJmioを使っている人がb-mobileプランIに乗り換えようとすると、1ヶ月間契約を重複させる必要があります。折角1000円以下のサービスをやりくりしているのに、初期費用以外にさらに費用がかかるのはちょっと……。

いまb-mobileを使っている人であればプラン変更ができるのですが、今度は一度プラン変更をしてしまうと元のプランに戻せません。(プランI・プランNの間の変更は後日できるようになるとのこと)既存のb-mobileの各プランとも性格の違うプランだけに、使用感が想定と違う場合に元に戻せないのは少々やりづらいのではないでしょうか。

IIJmioでは、ミニマムスタートプラン・ライトスタートプラン・ファミリーシェアプランの間のプラン変更が自由に行えるので、もし、クーポンが500MBで足りなかった場合でも簡単に上位のプランに移行できます。

しかし、プランIではそのような仕組みもなく、また、高速通信の追加購入もできないため、これでだめなら解約するしかないというあたりは、ちょっとギャンブルですね。

また、プランIではSMS対応することができない(オプションもない)というのも悩ましいです。スマホでMVNOのSIMを使う場合、SMS対応していないとバッテリーがあっという間になくなりますIIJmioであればオプションでSMS対応ができるのでこの問題は起こらないのですが、SMS対応していないプランIはをスマホで使うのは事実上困難なのではないでしょうか?


 ということで、b-mobileの「月額定額プランI」とIIJmioの「ミニマムスタートプラン」について、気になる部分を徹底的に比較してみました。

最初にも書いたとおり、名前自体は思い切りぶつけていってる感じなのですが、詳しく調べてみると直接ぶつかるプランではないという印象です。むしろ、いまIIJmioを使っている人が乗り換えると、使い勝手の違いに戸惑うのではないかと思いました。

とはいえ、プランI自体は大変意欲的な試みだと思いますので、もう1枚SIMが欲しくなったときには候補にしてみようと思います。

 

最後になりましたが。プランIについてb-mobileの公式Twitterアカウントに質問したところ、大変丁寧なお返事をいただきました。ありがとうございました。